ファインチューニングとRAGとは?AIに「覚えさせる」2つの方法を徹底解説
ゆるAIラジオ 第5回|AIスタートクラブ(山梨)
AIを使っていると、こんな場面に出会ったことはありませんか?
「最新の社内情報をAIに答えてもらいたい」「会社のFAQをAIで自動応答させたい」「特定の話し方やフォーマットで出力してほしい」
ChatGPTやClaudeはすごく便利ですが、デフォルトの状態では自社独自の情報や最新情報に対応できません。そこで登場するのがファインチューニングとRAGという2つのアプローチです。
今回は、エンジニアのたくむと、AI専門家のだいきの2人が、この2つの違いと使い分けについてゆるく語りました。
そもそも「AIに覚えさせる」とはどういうことか
ChatGPTやClaudeのような生成AIは、膨大なデータを学習して完成したモデルです。Web上の情報や過去のデータから「最適な答え」を出してくれますが、学習が完了した後に起きた出来事や、会社独自の情報は持っていません。
では、そういった情報をAIに扱わせるにはどうすればいいのか。大きく分けて2つの方法があります。それがファインチューニングとRAGです。
ファインチューニングとは——「キャラ付け・癖付け」の特訓
ファインチューニングとは、すでに完成しているAIモデルに対して、特定の分野や話し方・フォーマットを追加で学習させることです。
よくある誤解は「ファインチューニング=知識を教え込む」というイメージですが、正確には少し違います。
「知識を教えるというよりも、話し方や癖付け・キャラ付けのイメージが一番近い」
例えば、AIに対して「必ずこの形式で答えてください」「この業界の専門用語を使ってください」「丁寧なビジネス文体で答えてください」といった答え方の癖を身につけさせるのがファインチューニングです。
ポイントをまとめると以下のとおりです。
- 何を知っているかより「どう答えるか」を変える
- 特定のフォーマット・文体・専門性を定着させる
- 一度学習させると繰り返し使える
ただし、ファインチューニングだけでは会社独自の情報や最新情報を扱うことはできません。情報が更新されるたびに再学習(再特訓)が必要になるからです。
RAGとは——「毎回取材してから答える」仕組み
RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)とは、AIが質問に答える前に特定のデータソースを検索し、その情報を踏まえた上で回答を生成する仕組みです。
大木はこれを「取材型の作家」に例えて説明してくれました。毎回現地に足を運んで取材をしてから作品を書く作家のように、RAGを使ったAIは「質問に答える前に必要な情報を取材してから回答する」わけです。
ファインチューニングとの大きな違いは、AIの頭に情報を焼き付けるのではなく、必要なときに外部から情報を取ってくるという点です。
- 社内FAQや製品情報など、頻繁に更新される情報に強い
- データを追加・更新するだけでAIの回答が変わる
- 再学習が不要なため、最新情報への対応が軽い
大木は実際にObsidian(オブシディアン)という情報管理ツールをRAGと組み合わせて使っているといいます。キーワードに応じてObsidianから情報を引き出し、それを踏まえた回答を得るという使い方です。
RAGで重要なのは「データの質」
RAGには1つ重要な注意点があります。それは渡すデータの質が回答の質を直接左右するという点です。
「ごちゃごちゃのおもちゃ箱の中から欲しいおもちゃを探すのが大変なように、整理されていないデータから正確な情報を引き出すのは難しい」
散らかったデータをそのまま渡しても、AIは何が正しい情報なのか判断できず、ハルシネーションと同じような質の低い回答になってしまいます。RAGに渡す情報は、整理・構造化した上で使うことが重要です。
ファインチューニングとRAGの使い分け
2つの違いを整理すると、使い分けの基準は明確になります。
- ファインチューニング
- 向いている用途
話し方・フォーマット・専門性の定着 - イメージ
キャラ付け・癖付けの特訓 - 情報更新への対応
再学習が必要 - 具体例
特定文体での出力・業界用語の定着
- 向いている用途
- RAG
- 向いている用途
最新情報・社内固有情報の活用 - イメージ
毎回取材してから答える作家 - 情報更新への対応
データ追加だけでOK - 具体例
社内FAQ・製品情報・社内ドキュメント
- 向いている用途
一言で言うと、「どう答えさせたいか」はファインチューニング、「何を答えさせたいか」はRAGです。
今日のまとめ
- ファインチューニングとは
完成したAIに追加で特訓をして、話し方・フォーマット・専門性を身につけさせること - RAGとは
質問のたびに外部データを検索し、その情報を踏まえて回答を生成する仕組み - 使い分けの基準
「どう答えさせたいか」→ファインチューニング、「何を答えさせたいか」→RAG - RAGの注意点
渡すデータの質が回答の質を決める。整理されていないデータは逆効果 - 活用のゴール
この2つを使いこなせるようになると、AIをより自分や自社に合った形で使えるようになる |
次回予告
次回もAIについてゆるく深掘りしていきます。AIやラジオのテーマについてご意見・ご感想があればコメントで教えてください。
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AIスタートクラブ(山梨)主催